髄膜腫とは?
髄膜腫とは脳腫瘍の一つです。脳腫瘍のなかでは比較的ポピュラーな腫瘍です。
100万人の人口がいれば1年間に20数人この病気がみつかるといわれています。
最近は、頭痛や頭部外傷、脳ドックなどでCTやMRIなどの画像診断を受けた時にたまたま見つかる場合も増えています。
たまたま見つかった場合は、心配しすぎる必要はありません。ほとんどは、急激に変化することはありません。
まったく大きくならない場合すらあります。
髄膜腫は、脳を包む膜から発生します。つまり脳そのものから生じる腫瘍ではなく、
脳の外から発生して脳を外側から圧迫するできものです。髄膜腫はほとんどの場合、組織学的には良性です。
すなわち、大きくなるスピードが癌などとはちがって遅いということと、転移しないという意味です。
しかし、まれに悪性の髄膜腫があり、注意は必要です。
どんな症状が出るの?
ある程度大きくなると、脳や神経を圧迫して症状を出すことがあります。
症状は、発生する部位によって様々です。 多いものは、頭痛、吐き気、痙攣発作などですが、
発生する部位によっては、物忘れや認知症のような症状、 歩行障害、手や足の麻痺、視力障害や視野障害、
複視、顔面神経麻痺、顔面の痛みやしびれ、聴力低下、など、 脳の病気で起こりうるあらゆる症状が出る可能性があります。
まれには骨の外にでてきて、こぶのようになる場合もあります。
しっかり診断しましょう
CTやMRI検査で比較的簡単に診断は可能です。造影剤を使用してMRIを撮ると、より確実に診断されます。
偶然みつかった髄膜腫(白く写っている丸いものです)
左右の脳の間にある膜から発生したもので、大脳鎌髄膜腫といいます。
造影剤を注射して撮ったMRI画像です。何も症状は出ていません。
治療はじっくり考えましょう
【1】症状がでて見つかった場合
腫瘍が何らかの症状を起こしていると考えられる時は、ほとんどの場合は治療が必要となります。
【2】無症状で見つかった場合
この場合は治療(すなわち手術)するか、しないで経過観察するか、一定の指針はありません。
かかった病院によって違うのが現実です。
ひとつの考え方としては、腫瘍ですから一般的には小さいうちに
取り除くほうが治療も簡単ですし合併症の危険性も小さくなります。症状がないように思っていても、
画像検査で、脳を強く圧迫していて脳浮腫などの心配な所見が出ていれば治療することに異論はないでしょう。
もうひとつの考え方としては、とくに小さい腫瘍の場合、何年経ってもまったく大きくならない場合も多いので、
経過観察するという方針があります。大きくさえならなければ、現時点で何も症状がないのですから、治す必要がない、というわけです。
いずれにしても、担当の医師と十分に相談して、決めたほうがよいでしょう。
治療の種類
治療の基本は手術による摘出です。脳腫瘍を取り除く、という手術ですから、決して簡単な手術ではありません。
開頭術といって、頭蓋骨を一時的に開く治療です。髄膜腫は硬膜という脳の膜からできますので、
完治をめざすためには腫瘍が発生した部位の硬膜も取り除く必要があります。腫瘍が完全に取り除かれ、硬膜も除去できれば、
再発することも稀で、治る病気です。しかし、腫瘍が頭蓋底などの難しい場所にできている場合は、必ずしも硬膜を十分に摘出できるとは限りません。
手術以外には放射線療法がありますが、手術とちがって、治療したとたんに消えてなくなるわけではありません。
当院での治療
まずは、MRIで写っている腫瘍が、髄膜腫である、という確かな診断が必要です。
そのために当院では、3台の1.5テスラ高解像度MRIをそろえており、ほとんどの場合、すぐに診断が可能です。
診断確定のためには、造影剤を使用したMRIを行います。髄膜腫がたまたま発見された場合で、症状がない場合は基本的には、
まず経過観察します。数ヶ月毎にMRI検査を行い、大きくなるかどうかを見ます。症状がなくても、検査をする度に明らかに
大きくなる場合は手術の対象になります。
腫瘍がかなり大きい場合や、脳の圧迫が強い場合も手術の対象となります。
白い部分が腫瘍。
その下の黒いところは脳浮腫です。
手術後の画像です。
腫瘍が取り除かれ、脳浮腫もほとんどなくなっています。
一方、小さいもので、経過観察してもまったく変わらない場合は、手術をしないで様子を見ます。
手術を行って無事、退院したあとは、外来でしばらく通院が必要です。全摘出できたと思っていても、慎重に経過観察が必要です。
また、手術した場合には、摘出した腫瘍の病理検査をします。世界保健機構WHOにより、悪性度が良性、非典型、
退形成の3段階に分類されています。さらには、腫瘍細胞の増殖能の評価をMIB-1という指標で診断します。
この値が高い場合は、特に念入りに経過をみる必要があります。