こんな症状

顔面の痛み・痙攣

三叉神経痛

顔面の痛みのうち、脳神経外科で扱うものに、三叉神経痛(さんさしんけいつう)があります。三叉神経とは、顔面の感覚を脳に伝える神経です。

三叉神経痛の痛みの特徴
突き刺すような、強い突発的な痛みである。一瞬の、走るような痛みである。
顔を洗う、歯をみがく、ひげを剃る、冷たいものを飲む、噛む、しゃべる、などの動作で痛みが誘発される。
さわると痛みを誘発するポイントがある(たとえば、鼻の横をさわると、顔にびりっと痛みが走る、など)

三叉神経痛の原因
原因は、頭蓋内にあります。ほとんどは、脳幹に三叉神経が入る入り口の部分に、細い血管が当たって神経を刺激していることが原因です。 MRI検査で、詳細な画像を撮影すると、血管が三叉神経を圧迫している状態がよくわかります(一般的なMRIの撮り方ではわかりません)。 稀に、脳腫瘍が三叉神経を圧迫している場合もあります。


MRIに血管の画像を合成した3D画像です。三叉神経の根元のところを血管が圧迫しており、神経にくぼみができているのがわかります

三叉神経痛の治療
①第一は薬剤治療です。内服薬で、一般名カルバマゼピン(商品名テグレトール、テレスミンなど)が第一選択です。もともとはてんかんのお薬です。症状の発生時には、この薬で痛みがかなり緩和されることがほとんどです。この薬が効くことが、三叉神経痛である証明とも考えられます。カルバマゼピン以外にも、いくつかの抗てんかん剤が有効な場合があります。

②痛みが非常に強くて薬では耐えられない場合は、手術で治す方法があります(神経血管除圧術)。耳の後ろを切開し、頭蓋内の深いところで三叉神経を圧迫している血管を移動させて圧迫を解除します。成功すれば、痛みが完全に止まりますが、成功率は一般的には85~90%です。また、稀に脳幹梗塞などの重篤な合併症が起きることがあります。


顔面痙攣(がんめんけいれん)

左右のどちらか片側の顔面が、勝手にピクピク動いてしまう症状を「片側顔面けいれん」といいます。初期はまぶたのけいれんからはじまり、次第に目のまわりや口のまわりまでけいれんするようになります。重症になると、けいれんのためにまぶたが閉じてしまうようになります。

顔面痙攣の原因
原因は頭蓋内にあることが多いです。多くは、脳幹から顔面神経が出る出口の部分に細い血管が当たって、神経を刺激していることによります。MRI検査で、詳細な画像を撮影すると血管が顔面神経を圧迫している状態がよくわかります。稀に、脳腫瘍が顔面神経を圧迫している場合もあります。

顔面痙攣の治療
①第一は薬剤治療です。何らかの抗痙攣剤を用いますが、残念ながら、薬が著効する場合は少ないです。

②薬で十分な効果が得られない場合は、ボトックス治療という方法があります。ボツリヌス菌が作り出すボツリヌストキシンを顔面に皮下注射して、けいれんしている筋肉を麻痺させ、 顔面けいれんの症状を改善させる治療法です。効果は2~3ヶ月程度、持続します。

③けいれんが強い場合で日常生活に苦痛がある場合は、手術で治す方法があります(神経血管除圧術)。耳の後ろを切開し、頭蓋内の深いところで顔面神経を圧迫している血管を移動させて圧迫を解除します。成功すれば、けいれんが完全に止まりますが、成功率は一般的には85~90%です。また、稀に脳幹梗塞などの重篤な合併症が起きることがあります。