脊髄脊椎疾患
「脳神経外科」というと脳の病気だけを治療する科と思いがちですが、決して脳だけではなく、脊髄や末梢神経に至るまですべての神経疾患を扱います。もともと北大脳神経外科が脊椎・脊髄、末梢神経にも力を入れていたこともあり、当院でも開設当初から脊椎・脊髄、末梢神経疾患を脳疾患と同等に扱い、診断・治療を行なってきました。手足がしびれる、力が入りにくい、歩きにくいなどといった症状は脳の病気でも起こりますが、椎間板ヘルニアなどの脊椎・脊髄の病気や末梢神経の病気でも見られます。脳から手足の末梢神経までは全てつながっており、この脳―脊髄―末梢神経のどこかで問題があれば手足に症状が出現します。従って、頭のてっぺんから手足の先まで全ての神経を詳細に診察し、MRIなどを含めた詳細な検査を行なうことによって、始めてその原因がどこにあるのかを評価できると私たちは考えております。
脊髄、末梢神経疾患とは?
脊髄の場合は、脊髄を取り囲む骨(脊椎)や椎間板などが神経を障害する原因となります。多くはこの脊椎や椎間板などが加齢によって変化する変性疾患となります。その他、先天的な病気、脊髄の血管が障害される病気、脊髄の腫瘍、外傷などもあります。部位別にみると、頭蓋頚椎移行部(頭と首の間)、頚椎、胸椎、腰椎、末梢神経に分類され、各部位で起こりやすい病気がある程度決まっています。◉頭蓋頚椎移行部疾患:環軸椎脱臼(頸椎の脱臼)、キアリ奇形(先天奇形)
◉頚椎疾患:変形性頸椎症、頸部椎間板ヘルニア、頸椎後縦靭帯骨化症
◉胸椎疾患:黄色靭帯骨化症(靱帯が骨のように硬くなる
◉腰椎疾患:腰部椎間板ヘルニア、腰部脊椎管狭窄症、腰椎すべり症
◉末梢神経疾患:手根管症候群(手首での正中神経障害)、肘部菅症候群(肘での尺骨神経障害
なお、血管の障害や腫瘍は胸椎に多く見られますが、他の部位にも見られます。
脊髄、末梢神経の障害による症状は、その病気の場所によって異なります。 腰椎の問題であれば腰痛、足のしびれ、痛みが多く見られます(時に力が入らなくなる、排尿障害なども出現します)。頚椎や頭蓋頚椎移行部の病気であれば手にしびれや痛みが出やすいのですが、足にも症状が見られることもあります。また、首の痛み、肩の痛みなども良く見られます。
※詳しい病気の解説は日本脊髄外科学会のホームページで紹介されていますので、そちらをご覧ください。