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書評

髙見俊宏  大阪医科薬科大学脳神経外科学

 脳神経外科医による脊椎脊髄外科の教科書として認知されていた初版『脊椎・脊髄疾患の外科』の第2版である本書は,故岩﨑喜信先生の弟子として"助さん・格さん"を自負される飛驒一利先生・小柳 泉先生の両編集による大がかりな改訂の力作となった。

 初版『脊椎・脊髄疾患の外科』は,故岩﨑先生が脊椎・脊髄疾患のスタンダードな教科書となるようにとの想いを込めて世に出された。その初版を細部にわたり最新情報に変更し,さらに脊椎脊髄外科の重要課題であるリハビリテーションなどの項目を追加し,脊椎・脊髄疾患の課題全体を網羅する総合的な外科教科書として生まれ変わった。

 総論の脊椎・脊髄の発生と解剖に始まり,神経学的診断,画像診断,各論では加齢変性疾患,腫瘍,血管障害,外傷,頭蓋頸椎移行部病変,先天性疾患,末梢神経障害,さらには臨床の盲点となりやすい非腫瘍性病変,疼痛・痙縮など,脊椎・脊髄疾患全体を包括しており,脊椎脊髄外科を志す医師にとってはバイブルといえる内容となった。知識の羅列に終始せず,手術手技の解説にも力点が置かれている。特に脊髄腫瘍,脊髄血管障害の解説においては,従来の教科書より,はるかに多い情報が記載されており,飛驒先生・小柳先生の豊富な治療経験を加味した内容は,他の同様の書籍を圧倒している。文章のみならず,豊富な診断画像・シェーマ,さらには手術画像などが掲載されており,学習しやすいように全体が整えられている点も好感が持てる。

 本書は,脊椎脊髄外科を実践する脳神経外科医・整形外科医だけでなく,さらには医学生諸君にとっても役に立つ教科書にするという飛驒先生・小柳先生の気概を強く感じる出来上がりとなった。飛驒先生・小柳先生は,私自身が尊敬する脊椎脊髄外科の達人のお二人である。そのお二人による『脊椎・脊髄疾患の外科』第2版は,脊椎脊髄外科の教科書の枠を超えて,初学者には明確な道標となり,経験豊かな者には知識を体系化する最適の書となった。脊椎・脊髄疾患の克服を願って,ここに本書を強く推薦する。


   『脊椎・脊髄疾患の外科』(第2版) 序 文   

   書評 花北 順哉 / 藤枝平成記念病院副院長