看護部

麻生の看護

ポディメカニクス(トランスファーテクニック)

ボディメカニクス(トランスファーテクニック)の意義

 「ボディメカニクス」とは、体位変換や移乗移動動作のことをいいます。 ボディメカニクスの優れている点は、患者さま、看護師双方にとって安楽で安全に体位変換や移乗移動を行える点です。なぜそれが可能かというと、人間の起き上がる、立ち上がるといった動作はある一定の法則性があります。その法則を理解し、その動きに合わせて適切に介助することで、看護師の力で動かすのではなく、自然な動きで介助できるため、患者さま、看護師双方にとって安楽で安全に動かせることができるのです。


 この技術は、遷延性意識障害、いわゆる植物状態の患者さまから筋力低下の高齢の患者さままで幅広く適応できます。刺激に反応せず、意識がないことで寝かせきりになっている患者さまであっても、この技術を使うことによって、積極的な離床を可能にさせます。一方、片麻痺があっても、意識がはっきりしていれば、患者さま自身の残された機能を使えば、全介助の必要はないはずです。必要最小限に介助しながら、生活の再構築という視点から、「生活を支える技術」としてボディメカニクスの技術を使って患者の生活の範囲を拡大し、食事・排泄・更衣・整容といった日々の活動を実現させています。 ボディメカニクスは、患者さまの持てる力を最大限に発揮させるためにも必要な看護技術と位置づけています。


 もちろん、ボディメカニクスを体得するためには、それなりの訓練が必要です。いわゆる「コツ」というものになります。対象者の精神的身体的な機能を適切にアセスメントし、そのうえに立った介助方法を選択することが重要だといえます。個別的な差異をふまえたケアは、アセスメントの正確な目と実践の繰り返しが必要であり、技術体得のための研修を行っています。